15.パンケーキ(指揮敬)

200113公開
甘々ワードパレットより
優しさ/繋ぐ/甘やかす
花田と映画を見る伊勢崎の話

 ちょいちょいうちにやってくる敬くんが私に対してセックスアプローチをかけている、ということはもちろん知っている。私は彼の親くらいの年齢であるし、経験だってないわけじゃない。それくらいわかる。
 もう五十代の私に対して、敬くんは高校生。まだ若い。ヤりたい盛りなのだ。それも仕方ないのはよく理解している。私だって、できることなら、敬くんとセックスがしたい。けれど、大人としてのけじめが彼に手を出すことを許さないのだ。
 敬くんのアプローチは普段の小学生のような子供らしさと違って、ずっと大人びている。今だって、レンタルビデオ店で借りてきたアクション映画を見ながら、ずっと私の手に触れてくる。恋愛映画ならそういう雰囲気になるかもしれないが、画面がずっとハチャメチャ乱闘のアクション映画ではそうもならない。映画の選択を間違えているよ、と優しさから助言したくなるが、恋愛映画なんて敬くんにとってはつまらないだろうし、私だって恋愛映画に興味はない。敬くんの選択は私たち二人にとっては正解だった。
「ねえ、縹さん。次はアンドロイダー観る?」
「恋人と二人でアンドロイダーかあ……」
「あ、そっかあ……こういう場面だとやっぱ、恋愛映画の方がいいのかな? あー、オレ、映画選択ミスった……」
 ちょっとからかうつもりでそう言うと本当に落ち込んだように敬くんが項垂れた。相変わらず面白い子だな。ふふふ、と微笑みながら、指と指をそっと絡ませる。恋人繋ぎだ。敬くんはその目を丸くしてこちらを見てきた。
「縹さん……」
「いいや、私は敬くんと観るならアンドロイダーの方がいいな。恋愛映画は、私にはつまらないから。敬くんもそうだろう?」
 微笑みかけると敬くんはその頬を真っ赤にした。セックスはしてあげられないけれど、たくさん甘やかして、手くらい繋いであげよう。まだまだ敬くんは子供だから。敬くんが大人になるまではこれが限度。
 でも、敬くんが大人になったそのときは、大人としての対応をしよう。

200113