20.硬くなる/他の奴/冗談のふり

191231公開
エッチ練習用ワードパレットより
エッチ度は低め
嫉妬の話をする指揮矢


 矢後が成人でないため、ラブホテルに入れない。矢後の実家や寮室では、家族や隣室の人間に迷惑がかかる。なので、二人がセックスをする場所はだいたい合宿施設の萌黄の私室と決まっていた。何せ、萌黄の私室にはシャワーと小さいながら浴槽があるバスルームが存在する。高校生たちは大浴場を使わされているというのに。まあしかし、これは大人の特権であるし、何かと便利だ。それにヒーローたちの寮室からは離れているから、うっかり情事の物音が聞かれてしまう、という心配も少なかった。
 湯上がりの矢後がほこほこ頭から湯気を立たせながら、濡れた髪を拭いている。今はまさに情事の後であった。
「部屋に風呂あるとか、大人ってずりーよな」
 先に上がって、レポートをまとめている萌黄に矢後が気怠げな視線を向けてくる。ALIVEに提出するレポートをまとめている最中に矢後がやってきて、なりゆきでそういう流れになってしまった。実にいけない。
「寝とってええで」
「別に今は眠くねーし。何書いてんの?」
 ずいっ、と萌黄が座っている椅子にわりこんでくる。男二人はなかなかキツいのだが……。しかし、矢後はそんなことは気にしない。作業を妨害してくる猫のようだ。
「こないだ出てきた嗜好性のあるイーターについての報告書。普通のやつに比べて、だいぶ変則的やったからな。こういうのがいましたよって報告しとかなあかん」
「ふーん」
 自分で訊いたくせにどうでもよさげな反応をする。一体何だというのだ。
 それにしてもお互い湯上がりの身体は温かい。単に湯上がりで熱いだけなのか、情欲の熱なのか、よくわからなくて、なんだか勘違いしてしまいそうだ。
「なー、邪魔やねんけど……」
「うるせー」
「いや、ホンマなんやねん。はよ寝ろや」
 しっしっ、と追い払うように手を払うとその手をいきなり掴まれた。
「ホンマな……むぐ」
 抗議しようとするとそのまま矢後の唇で口を塞がれた。本当一体なんだというのだ。舌で一際尖った八重歯をいじめられて、思わずキュッと目を瞑った。キスをしながら、矢後が萌黄の膝に乗り上げてきて、寝間着越しに胸元を撫でた。乳首をぐり、と弄ったかと思えば、そのまま下へと滑っていって、股間に触れる。
「ハハ、硬くなってる」
「そら、いきなりそんなことされたら……」
「お前って、他の奴にシットってしたことある?」
「は?」
 寝間着越しに股間を撫でながら、矢後が訊ねてくる。質問の意図がわからなくて、ぞわぞわ身体を震わせながら、萌黄は首を傾げた。
「シット。あんの? ねえの?」
「ああ、やきもちのこと……うーん……」
 訊ねられて、改めて思い返してみる。正直、あまりない。矢後が戸上と喧嘩やバスケをしようが、伊勢崎と遊びに行こうが、久森を振り回そうが、割とどうでもよかった。むしろそんなことにいちいち嫉妬する方が大人としてどうなのだ、と思う。しかし、久森のように戦闘中の矢後と肩を並べて戦いたいと思ったことはあった。これが嫉妬というやつかもしれない。だが、それをそのまま矢後に伝えるのはなんだか憚られた。自分ばかりが好きなようでだいぶ悔しい。
「別にない。おっさんのくせに高校生の交友関係に文句言い出したら、人間としてだいぶ終わってるやろ」
「ふーん」
 冗談のふりをして答えるが、矢後はやっぱりどうでもよさげな反応を返してきた。自分から訊いておきながら本当になんなのだ。
「矢後はどーなん? 誰かに嫉妬とかしてる?」
「俺も別にお前が誰と何しようがどーでもいーわ」
「せやろな」
「強いて言えば、これ」
 そう言って、矢後が指を指したのはパソコンだった。本丸のデスクトップは執務室の方にあるから、サブ機のノートパソコンだ。
「セックスした後、すぐに仕事する男はサイテーだって、姉貴が言ってた」
「あー、そう……すまんな」
 なるほど、矢後は構って欲しかったらしい。事後で疲れた矢後を放置して先に風呂に入った挙句、仕事に戻るなどなかなかひどいことをしたかもしれない。確かにサイテーだ。
 膝の上の矢後が寝間着のシャツを脱ぐ。まだまだやる気満々だ。
「何勝手に終わってんの? 俺はまだ足りねーんだけど」
「はー、しゃーないなあ」
 ため息を吐きながら、矢後の寝間着のズボンをずらす。指を唾液でたっぷり湿らせてから、その尻穴に指を忍ばせる。事後だからか、まだ柔らかかった。浅いところにある前立腺のしこりをコリコリ撫でると「うあ」と短い悲鳴を上げて、首に抱きついてきた。萌黄の太腿に触れている矢後の股間が少しだけ硬くなった。戦闘絡み以外では尻穴を弄らないと勃起できないのは少し可哀想だな、と思う。
「なあ、ケツの穴好き?」
「……すき」
 はふう、と熱い吐息を漏らしながら、矢後が答えた。

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